イギリスの法律でペットショップでの「6ヶ月以内の子犬や子猫の販売を禁止」することが正式に決まったようです。
この法案は「ルーシーの法律」と呼ばれ、獣医師のマーク・エイブラハム氏の先導のもと国民の署名により実現したそうです。
パピーファーム(子犬工場)を全面的に禁止
この法律により以前から問題となっていた「パピーファーム」や「パピーミル」と呼ばれる、悪質なブリーダーによる営利目的優先でペットを大量繁殖する事業が運営できなくなります。
「パピーファーム」の何が問題かというと、大量繁殖の飼育コストを抑えるために、動物の健康や栄養状態を考えない劣悪な環境でペットを飼育していることです。
イギリスでは毎年4万〜8万匹の子犬(子猫も)が販売されていて、この「パピーファーム」は以前から問題になっていました。
しかし、今回「ルーシーの法律」が生まれる決定打になったのは、2013年にイギリス、ウェールズの子犬農場から救助されたルーシーという名前のキャバリアにちなんで命名されています。
ルーシーが保護されたときの状態は、狭いケージに長期間閉じ込められていたことから背骨が曲がり、てんかんを患っていた他にも様々な健康上の問題があり、2016年に死亡しました。
この閉じ込められていた理由は「子供が産めなくなったから」です。
ペットの飼い主にとっては非常に痛ましい出来事で、なぜ?こんな悪質なブリーダーがはびこるの?と思ってしまうのですが、やはりそこは商売。ペットショップはブリーダーを非難することはできない状態が続いていたそうです。
そこで、獣医師であるマーク・アブラハム氏が立ち上がり、SNSなどを駆使して「ルーシーの法律」についての幅広いキャンペーンを行い多くの署名を集めました。
その甲斐あって今年イギリス政府は仔犬繁殖業者、不法ブリーダー、不法仔犬販売業者、ペットショップなどの動物福祉に反する機関の締め付けを強化する方向に動き始めています。
イギリスでは今後、新しく生まれた子犬や子猫を迎え入れようとする場合は、ブリーダーから直接購入するか保護シェルターから引き取る方法でしか飼えなくなります。
すべては保護犬ルーシーからはじまった
キャンペーンの名称は仔犬繁殖場に幽閉されていた
キャバリア・スパニエル、ルーシーである2013年にレスキュー・センターより
リサ・ガーナーに譲渡されるまでは悲惨な状態であった。以下は飼い主であったリサの談
「レスキューセンターの人たちとメールを交わし、
何度も考えた末、引き取ることにしました。救出する前の状況はわかりませんが、
体の状態が、どんな環境に置かれていたかを雄弁に語っています。突き出た腰骨、曲がった背中は
狭いケージに閉じ込められていたことを語ります。
栄養失調、ドライアイ、禿、アンモニアの匂いにまみれた
何か焼けているような匂い。
糞尿の上で寝なければならなかったのでしょう」リサは少量の餌と短い散歩からゆっくり普通の生活へと戻していった。
恐がりで神経質でしたが、毎日少しずつ自信を取り戻し
本来のやんちゃな性格が芽を出してきたのである。しかしルーシーが受けた傷は
深いところで癒えることはなかった。
分離不安がひどく、家を留守にすると、
ドアのそばでずっと鳴いてたという。
そして抱き上げるといつもすくんでいた。「でもルーシーは頑張りましたよ。生を満喫してくれたと思います。
8歳か9歳の非常に短命でしたが、
ルーシーに会った人たちすべてに
幸せと愛で満たしてくれました。
一年前に亡くなりました。
フェイスブックのフォロアー7万人からいいねをもらって」
その他の国でもパピーファーム(パピーミル)撲滅に向けて動いている

引用元:https://www.change.org/p/senators-and-representatives-should-puppy-mills-be-banned-in-the-united-states?recruiter=29240832&utm_source=share_petition&utm_medium=twitter&utm_campaign=share_petition&utm_term=autopublish
この「パピーファーム」問題は世界中に広がっています。
イギリスはパピーファームを禁止する最初の国になる予定ですが、すでにアメリカのメリーランド州やカリフォルニア州でもパピーファームを規制する法律を制定しています。
しかし法律的に万全でない部分があったり、まだまだペットショップで犬猫を買うということへの信頼感が一般的であったりと課題は多いです。
「パピーファーム」の実際の状況はペットの飼い主なら直視できないような状況なので、少なくともあの劣悪な工場や環境が法律などで改善されていくように、世界的なムーブメントになっていくことを願います。
日本にパピーファーム(パピーミル)はあるの?
あります!しかも福井県で2017年にあった話です。
犬や猫約400匹を過密状態で飼育、繁殖するなど動物虐待が疑われる施設が福井県坂井市内にあることが2月28日、公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、本部東京都)などへの取材で分かった。
同協会は3月1日にも、動物愛護管理法違反(虐待)などの疑いで、運営する動物販売業者を福井県警に刑事告発する方針。
商品を大量生産するように子犬を産ませる「パピーミル(子犬工場)」と称される施設は全国的に問題視されており、この業者の繁殖場も同様の方式とみられる。引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180301-00010000-fukui-l18
動画はちょっと可愛そうなので見たい人だけ見てください😢
日本は動物愛護関連の法律が欧米に比べて100年遅れているとも言われているので、このパピーファームが法律による規制の対象となるのはまだまだ先のように思います。
私は無知なあまりペットショップにて購入してしまいましたが、やはりこの劣悪な環境を少しでも改善するためにも、悪質なブリーダーの規制やペットショップでの生体販売の見直しや改善に社会全体が動き出さなければいけないなと思いました。
⬇️パピーミルについて理解を深めるには以下の記事が参考になります(ちょっとショッキングな写真が含まれますので見たい方だけ…)
参考 パピーミルの恐ろしさ自分や家族にとって『最高に心地いい空間』 家はオーダーでつくる。 KIWAMI工房