アメリカのワシントン市で、いわゆる「猫の国勢調査」を行うプロジェクトが話題となっています。
参考 DCDC CAT COUNT慈善団体やスミソニアン保全生物学研究所、いくつかの動物愛護協会、動物愛護レスキューアライアンスなどが中心となり、3年間で150万ドル(日本円で約1億6千万円)もの大金をかけて行う「猫の国勢調査」にはいったいどんなメリットがあるのでしょうか?
ねこ
飼い主さん
なぜ猫の数を知る必要があるの?
理由1:猫の不要な繁殖を防ぐため
野良とはいえ猫はとても愛くるしい生き物ですよね。しかし猫は犬と比べてもとても繁殖力の高い動物で、野良猫を放っておくとどんどん増えていきます。
交尾すればほぼ確実に妊娠します。これを「交尾排卵」といい、ほ乳類の中でも猫とウサギなどごく一部の動物しか行わないめずらしい妊娠形態です。
猫は単独行動を好むなわばり動物で、ふだんはオスとメスが別々にくらしているため、少ない交尾の機会に確実に妊娠できるようなしくみになっていると考えられています。引用:さいたま市
一旦捕獲して去勢手術をするにも、猫は小さくすばしっこいので犬のように捕獲するのが難しく、どの都市でも適切に個体数を把握したりコントロールできていないのが現状です。
市内に迷子になっている猫がどれだけ住んでいるかははっきりしない。動物の管理職員は、猫を捕獲し、去勢することによって、猫の数を減少させます。しかし、猫の管理に科学的なアプローチがなければ、彼らは暗闇の中で働いている、と研究者らは述べています。
It’s not clear how many stray cats are living in the city. Animal control officials keep the population down by trapping cats, then spaying and neutering them before they’re released. But without a scientific approach to cat management, they are working in the dark, researchers said.引用:ワシントンポスト
理由2:野良猫を媒介とした伝染病を防ぐ
狂犬病というと犬のイメージがありますが、実は猫にもあります。
13歳の少女が狂犬病の犠牲者である猫に噛まれた後、狂犬病で死亡した。シンガラジャ病院で集中治療を受けた後、ペマルロン村のBuleleng病院で死亡した。犠牲者の父Gede Widiadaは、日曜日、娘が3匹の野良猫によって腕に噛まれたと言った。
BULELENG: A thirteen year-old girl died of rabies after being bitten by a cat, the first victim of rabies in Buleleng regency. Ni Kadek Vina Kurniadewi, resident of Pemaron village, died Friday at the Buleleng Hospital after receiving intensive treatment at the Singaraja Hospital. The victim’s father Gede Widiada said Sunday his daughter was bitten on her arm by a stray cat about three …
あと、Twitterで話題となった「パルボウイルス」など、猫にとっても人間にとっても危険なウイルスはたくさんあります。
野良猫はもちろんワクチン接種などを受けていないので、病気の媒介という点ではとても危険なのです。
理由3:猫が増えすぎることで絶滅する動物がいる
人間にとってはキュートで愛くるしい猫ちゃんですが、猫が天敵となる動物や植物は多くワシントンでは約63の絶滅に影響していると考えられています。
猫はキツネやマングース、ドブネズミなどとともに「侵襲的捕食者」とされ、87鳥類、45哺乳類および10匹の爬虫類種の絶滅に関係しているといわれ、世界中でこれらの群の絶滅の58%に関連しているともいわれています。
ねこ
ねずみ
飼い主さん
猫と人間の共生のために
この「DC CAT COUNT」で対象となる猫は野良猫だけでなく飼い猫も対象です。ワシントンDCにいる「全ての猫」を把握することが目的なので、飼い猫でも野良猫でも余すところなく調査するのが目標となります。
しかしさすがに人間の目視だけで把握するのは難しいので、赤外線カメラや最新の様々な撮影機器を駆使して確認を行います。
他にも専用のスマートフォンアプリを開発して、住民の人が簡単に近所の野良猫を報告するようにできるシステムを構築するなど、かなりの本気度が伺えますね。
ちなみに猫の個体数を把握しても、捕獲されたり殺処分されるわけではないのでご安心を!
あくまで科学的な調査により猫の個体数をデータ化し、去勢やワクチン接種といった次の対応につなげるための施策だそうです。
ねこ