猫には世界がどう見えているの?猫の視力についてのお話

私たちを和ませてくれる、可愛い猫たち。その猫たちにはこの世界がどう見えているのでしょうか。まさか私たちとそっくり同じではないでしょう…では、どう違うのでしょうか?

このページでは「猫の視力・ものの見え方」について説明していきます。猫が見ている世界を、私たちもちょっとだけ覗かせてもらいましょう!

猫の視力の特徴

猫は基本的には肉食です。

今は人間に可愛がられ餌をもらっていますが、元々は野生の世界で自分の力で餌をとっていました。今でも自力で餌をとる勇敢な猫ちゃんもいるかな…?

動くものが獲物なので、動くものを見る能力はとても高いです!

ねこじゃらしをすばらしいスピードで追いかける猫ですから、それは「確かにそうだね」と納得できるお話ですよね。

猫は1秒に4mm動くものでも見分けることができるといわれています。とても敏感なんですね。

猫の視力は0.1くらい

私たちからすると、猫じゃらしに素早く飛びかかる猫はとても視力がいいんだろうな、という感想ですよね。

ですが実は猫の視力は0.1くらいしかありません。いわゆる「近視」ですね。

近くを見るのが苦手なのですが、遠くはまあまあ見えているようで、2m~6mくらいが一番よく見えています。

6mってどのくらい?って思いますよね。ちなみに一般的な6畳のお部屋の長いほうが3.5mほどですから、普通のおうちであれば、だいたいの範囲は見えている感じですね。

猫がときどき、首をかしげているしぐさをすることがありますが、その時は「見えづらい時に、角度を変えて見えるように調節している」といわれています。

猫の視野は270度

私たち人間は、視野が100~180度しかありません。私たちはサルの仲間で、顔の前面に目がついていますよね。後ろが見えない代わりに、目の前のものを立体的に見る力が強いのです。

腕力のないサルは、木の上で生活しています。力が弱いので地上に降りると危ないからです。

樹上生活を送るサルの仲間は木の枝を伝って移動するので、目の前の枝までの距離が正確につかめないと、木から落下してしまいますね。そこで立体視が得意なんです。

それに比べて、猫にとって大切なのは「よく見えなくてもいいから、ちょっとでも動くものがあったら飛びかかる」ことです。

近くをじっと見るのではなく、できるだけ広い範囲を見張り、動くもの(獲物)があったらサッと飛びかかる!それが猫の生き方なんですね。

だから猫は視野がとても広いです。250~280度と言われています。280度といえば、私たちの感覚からすると耳の後ろまで見えていることになります。

視野を広くすることで、出来るだけ多くの獲物を捕まえられるようになっているのでしょう。

猫は色を識別するのは得意ではない

私たち人間の目には、赤・青・緑の3つの色を見分ける細胞があります。この3種類の細胞が微妙に反応しあうことで、様々な色を見分けています。

私たちはサルの仲間なので、雑食(植物も肉も食べる)です。ですから木の実の熟し具合がわかるということが、生きていくのに重要なことなのです。

一方、猫の目は、青と緑の細胞がメインで、赤の細胞は少ししかありません。

そのせいで、赤がよく見えていません。赤いものはグレーに見えていると言われています。

猫にとって、一番大切なのは「獲物を察知する(動くものを見つける)」ことです。
しかも野生の猫であれば、薄暗くなってから夜の間に狩りをしていたわけですから、色を見分ける必要性がないのでしょうね。

猫は暗いところでものを見るのが得意

暗い中狩りをして生きてきた猫は、当然暗いところでものを見るのが得意です。

私たち人間も、暗いところで少しはものが見えますが、猫に比べたら苦手ですよね。それは、暗いところで反応する目の細胞が少ないからなんです。暗いところで反応する目の細胞を、桿体(かんたい)細胞といいます。

猫は人間の3倍もの桿杵体細胞を持っているんですよ。だから暗いところでも、はっきり物が見えるのです。

猫のために考えてあげたい工夫

猫は点滅が苦手です

さきほどお話したとおり、猫は私たちに見分けられないような、わずかなものの動きを感じ取っています。

そのため、電球の点滅といった細かな動きには私たちよりも敏感に反応します。

私たちには感じられないような蛍光灯の点滅や、クリスマスツリーの電球の点滅などは、猫たちにとってストレスになっている可能性があります。

インバーター式やLED、電球タイプは点滅しないので大丈夫です。

猫によって個体差がありますので、蛍光灯でも大丈夫な猫もいるでしょうが、おうちの猫がなんとなく蛍光灯が嫌いみたいだな…と感じたら、電球をLEDに換えるなど、何か工夫してあげられるといいかもしれませんね。

ゆっくり動くものはあまりよく見えていない

素早く動くものに飛びかかる能力を高めていった猫たちですが、逆にゆっくりと動くものはあまりよく見えていないと言われています。

猫と遊ぶときに、ゆっくりとおもちゃを動かしても、猫にとっては楽しくない(動いているように見えない)かもしれません。

赤やグレーはあまり見えていません・黒がキライです

上でご紹介したように、猫は赤やグレーがあまり区別できていません。ですから猫に見えて欲しいもの…たとえばおもちゃなどは、赤とグレーは避けたほうが、猫もよく見えて喜ぶと思います。

猫にとって見分けやすい色は青と緑と黒と白です。本来、屋外で獲物を追いかけていた猫ですので、緑や青に囲まれて生きてきたからかもしれませんね。

また、猫は黒くてテカテカしたものが嫌いと言われています。

猫にとっては赤の逆で、とてもよく見える色なので、威圧的に感じるらしいです。

カラスと同じ色だから怖がる、という人もいます。ですから、黒いダウンジャケットなどを嫌う猫もいるようです。

ただ、人間も人によって好きな色が違うように、猫にも個性があり、好きな色が違いますので、おうちの猫ちゃんの好みの色を探してみるのも楽しいですね。

私たちも好みの色のアイテムに囲まれて生きていくのはほっとしますよね。ですから猫ちゃんの好みの色を探してあげて、毛布や餌入れに使ってあげたいものです。

フラッシュは好きじゃない

暗いところでものを見て狩りをしてきた猫は、わずかな光にでも反応することができます。

ですから、フラッシュを使ったカメラ撮影は、猫にとってストレスになる場合があります。

私たち人間ですら、フラッシュを炊かれるとしばらく目がチカチカしますよね。猫にとってはもっとイヤなことではないでしょうか。気をつけてあげたいものですね。

猫の物の見え方を知って、猫に快適に過ごしてもらいましょう

猫たちの物の見え方についてお話してきました。似ているようで、やはり私たち人間とは違うところがたくさんありましたね。

猫が不愉快な気持ちにならないように、小さな工夫をしてあげられるといいですね。