猫ちゃんになめられたことってありますよね?
猫は犬のように頻繁に人間をなめることはありませんが、時には人間をなめることもあります。
これは猫が人間に対して「毛づくろい」をしてあげてるという行為で、飼い主としてはとても嬉しい行為なんです。まさに親愛の証といってもいいですね。
ねこ
飼い主さん
でも猫になめられるとちょっと痛い…ww
猫の舌は、人間や犬のツルツルとした舌とは違って表面がザラザラしています。まるで「やすり」のような猫の舌なのですが、これは「糸状突起(糸状乳頭)」という突起が猫の舌にはあるからです。
この糸状突起は猫ちゃんの生活には欠かせないものなんです。
猫の舌が持つ役割
- 獲物の肉を骨からはがすヤスリの役割
- 食事を残さないためのスプーンの役割
- 水をすくいやすくする役割
- グルーミングのときのブラシの役割
- 毛をなめることでの体温調整
猫の舌は味覚を感じるための器官というだけでなく、もはや道具といっていいほどの大活躍ぶりですね。
それだけ猫にとって『舌』は重要な働きをもつ器官なんです。
味覚を感じるだけじゃない!とっても役立つ「猫の舌」の働き
猫の舌はヤスリのような役割をもつ
猫の舌のザラザラは、その印象のまま「ヤスリ」のように動物の骨についた肉をそぎおとすための役割があります。
鳥の骨についたお肉などは人間でもけっこう食べにくいものですが、猫は道具を使わずに綺麗に食べることができるんですね。
猫の舌は食事のときのスプーンのような役割をもつ
猫の舌はとても長いので、食べ物をスプーンのようにしっかりとからめ取ります。
さらに舌のザラザラした糸状突起は、拡大してみるとフックを逆さまにしたような形をしています。まるで毛穴すっきりパックで取れた角栓のような…。
猫は元々狩りをする生き物なので、獲物が捕れなければ数日食べられないこともしばしば。
そういったこともあり、食べ物がこぼれることを防ぐのはもちろん、隅々までしっかりすくい取って残さないような構造になっているんです。
猫の舌は水を「ひしゃく」のようにすくう役割がある
猫の舌は食事のときに活躍するだけではありません。水を飲むときにもその特殊な構造の舌が大活躍します。
猫の舌は筋肉でできているので、その長さと相まってかなり自在に動かせます。犬は舌を使って勢いよくすくいあげるように水を飲みますが、猫は舌先を「J」のような形にして「ひしゃく」のように水をすくい上げます。
犬と比べて猫の方が、舌を器用に使うことができるんですね。
猫の舌はヘアブラシのような役割をもつ
猫はしょっちゅう自分の体をなめてグルーミングをしていますが、猫の舌のザラザラにはヘアブラシのように毛並みを整える働きがあります。
ザラザラの糸状突起はブラシとしてもとても優秀で、絡みついた毛も解きほぐしてくれる効果があるそうです。
猫がきれい好きでよくグルーミングするとはよく言われることですが、このブラシのような舌を使って念入りにお手入れしていたんですね。
舌で毛をなめることで、体温調整ができる
猫が一生懸命に被毛を整えるのにはもうひとつ理由があって、それは暑い日に被毛を使って体温をコントロールしているんです。
猫は人間のように汗をかくための汗腺が肉球のみにしかありません。そのため、夏の暑さに対して対処することができないんです。
そこで猫は本能的にグルーミングすることで、唾液が蒸発する時の気化熱で体温を下げています。
ただし長毛種の猫ちゃんは毛の量自体が多いため、毛が蒸れてしまってかわいそうな場合は、サマーカットなどで毛を減らすことも検討してあげてください。
英語ですが「猫の舌」が体温調整に役立つという記事です
参考 How cat tongues work—and can inspire human techNATIONAL GEOGRAPHICたまに舌を出しっぱなしにするけど意味はあるの?
猫ちゃんはたまに舌を出しっぱなしにすることがありますよね?あれは何か意味があるのでしょうか?
結論を言えば「しまい忘れ」ですね。猫ちゃんがリラックスしている証拠ともいえます。
たまに出している程度なら問題はないので、そっとしておいてあげて問題ないと思います。
ただし舌を出しっぱなしの状態がずっと続いてる場合や、同時によだれも出ているなどの場合は、口内炎や歯周病の可能性もあるので、動物病院でお口のチェックをしてあげた方がいいかもしれませんね。
こんな写真集まであるんです
口の周りをペロペロしてるのはなに?
口の周りをペロペロするのは「自分を落ち着かせるため」です。
恐怖心を感じたときや不安なときに自分を落ち着かせたり、相手に対して敵意のないことを知らせるために、口の周りをペロペロなめたり毛づくろいをしたりします。
よく猫ちゃんがジャンプや着地に失敗したりすると、しきりに体をグルーミングしだしたりしますが、これもいわば「照れ隠し」で自分を落ち着かせるためにしている行為になります。
これらは「カーミングシグナル」といい、猫だけでなく犬にもある共通の行為のひとつです。
猫のカーミングシグナルは、諸説ありますが全部で27種類もあると言われています。
のどをゴロゴロしたり、しっぽをピンとしたりするのもカーミングシグナルのひとつです。
一日中グルーミングしてるけど大丈夫?
猫ちゃんを観察していると、ずっとグルーミングしていることに気づくと思います。
こんなとき「大丈夫かな?」とは思ってしまいますが、猫にとってグルーミングは欠かせない行動のひとつで、気持ちを落ち着かせたり、体をキレイにしたり、猫ちゃんのコミュニティの中での愛情表現だったりと様々な意味をもち、とても重要な行為になります。
猫ちゃんは1日の4割もの時間をグルーミングに費やすと言われています。
猫ちゃんのグルーミングで注意すべきところがあるとすれば、長時間同じ場所をなめているときです。
グルーミングは顔から始まって、お尻、腰、後ろ足と上から順番に仕上げていきます。
長時間ずっと同じ場所をなめ続けているなと感じたら、何かしら皮膚や体に異常がある可能性があるので、一度詳しくチェックしてあげてください。
猫はやっぱり猫舌?熱い食べものは苦手なの?
人間の世界では熱いものが食べられないことを「猫舌」といいますが、猫ちゃんも実際に猫舌で熱いものは食べられないのでしょうか?
答えは「Yes」です。というよりは哺乳類全体が熱いものに敏感な舌を持っているので、猫も人も犬もみな同じく「猫舌」ということになります。
そもそも動物は人間のように食べものに火をかけて調理するという考え自体がないですよね。人間よりも感覚の鋭い動物は、まず必要以上に熱いものを自ら食べようとはしないでしょう。
ではなぜ熱いものが苦手な「猫舌」という言葉に猫という文字がついているのか。
これについては諸説ありますが、猫は日本人にとって昔から身近な存在として愛されていて、猫に関する慣用句は100個近くもあるといいます。
「猫舌」のほかにも「猫背」「猫っ毛」「猫の額」など、ぱっと思いつくものでもいくつかありますよね。
それだけ「猫の○○っぽい」という表現が、日本人にとっては誰もが理解できる共通の表現として使いやすかったんでしょうね。
味覚を感じるだけじゃない!とっても便利な猫の舌
猫ちゃんが生活する上で大変重要な働きをする「舌」についてのお話でした。
味覚のための機能はもちろんのこと、スプーンやナイフといった機能的な役割までも持っているなんてスゴイですよね。
人間が何年(何千年?)もかけて編み出した「道具」を使うという技を、猫ちゃんは進化の過程ですでに身につけていたということです。
このほかにも「猫の味覚」についての話や感覚の敏感な猫ちゃんへの「薬の飲ませ方」についてのお話もあるので、よかったら見てみてくださいね。
猫に薬を飲ませる方法についてはこちら