最近、主に人間用のサプリメントにおける健康問題で話題の「紅麹(べにこうじ)」ですが、多くのキャットフードにも色付けや抗酸化作用、抗菌作用を期待して添加されています。しかし、テレビ番組で紅麹が腎臓に悪影響を与える可能性があるという特集が放送されたこともあり、安全性について心配している方も多いのではないでしょうか。
今回は、様々な報道やネット上の情報から、紅麹入りキャットフードの安全性についてまとめてみます。
そもそも紅麹って何?
紅麹(べにこうじ)は、古くから中国で発酵食品や薬用に用いられてきたカビの一種であるベニコウジカビ(Monascus purpureus)によって生産される色素です。紅麹には、赤色色素の他に、抗酸化作用、抗菌作用、コレステロール値を下げる作用など様々な健康効果があると言われています。
キャットフードにおける紅麹の用途
キャットフードに紅麹が使用される理由は主に以下の3つです。
- 色付け: 紅麹は、キャットフードに自然な赤色を与えるために使用されます。合成着色料よりも安全性が高いと考えられています。
- 抗酸化作用: 紅麹には、細胞を酸化させる活性酸素を除去する抗酸化作用があります。抗酸化作用は、老化や病気の予防に役立つと言われています。
- 抗菌作用: 紅麹には、細菌やカビの増殖を抑制する抗菌作用があります。抗菌作用は、キャットフードの腐敗を防ぎ、猫の健康を守るのに役立ちます。
ただし、人間用サプリメントに使われる「紅麹」は、効果を高めるために濃縮されており、モナコリンKを多く含む種類が使用されることが多いです。一方、キャットフードに添加される「紅麹」は、色付けや抗酸化作用、抗菌作用を期待して添加されることが多く、モナコリンKの含有量は人間用サプリメントよりも少ないです。また、安全性を考慮して、アスペルギルス属菌ではなく、モナコリンKを生産しない紅麹菌(赤麹菌)が使用されることが多いです。
紅麹はかなり古くから添加物として使用されているという実績もあり、現時点では、キャットフードに添加される紅麹が猫に悪影響を与えるという明確な証拠はありません。
小林製薬の紅麹が問題になったのはおそらく「青カビ」の混入
今回の小林製薬の「紅麹」問題が起きた原因は、現在(4月2日)時点での発表によると、工場の老朽化により通常は考えられない理由で青カビが混入した可能性が高いとされています。(小林製薬プレスリリース)
今回の健康被害を引き起こしている「プベルル酸」は「紅麹」から生成しにくいとも説明されているため、現時点では、今回の小林製薬の紅麹とキャットフードに含まれる紅麹の直接の因果関係はないと考えられます。
また、小林製薬が提出している出荷先リストにもキャットフードを製造していると思われるメーカーは含まれていないと思われます。
皆さんが特に気になるのがちゅーるでおなじみの「いなば」ですよね?今回のリストには「いなばペットフード株式会社」は入っておらず、メーカー公式としても小林製薬の紅麹は使用していないと明言されています。
https://www.inaba-petfood.co.jp/topics/detail/1114
とはいえ、今回の小林製薬の紅麹問題を受け、いなば製品に使用されている紅麹の安全性について、多くの方が不安を感じていると思います。
いなば製品では、「ちゅ~る」シリーズのほか「焼きかつお」や「ちゃお」など一部の商品に紅麹が使用されています。これは、着色料として使用されており、猫の健康に影響を与える可能性は低いと考えられています。
いなばは自社で使用している紅麹の安全性について、現時点では「問題ない」としていますが、どの国のどういった工場で製造され、安全性に問題ないのかなど、より詳細な情報を提供してくれることに期待します。
そもそもキャットフードに着色料は要らない
キャットフードには、着色料が含まれているものが少なくありません。しかし、猫にとって着色料は本来必要のないものです。
ペットフードに着色料を使う目的は、実際にはペットよりも人を満足させるためです。(農林水産省資料) 犬や猫は食べる際に色よりも匂いや香りを重視しているため、カラフルなフードを見て特に「美味しそう」とは思わないとされています。
猫は二色覚と言われています。 これは、人間が赤、緑、青の3種類の錐体細胞を持っているのに対し、猫は青と黄緑の2種類の錐体細胞しか持っていないことを意味します。
そのため、猫は人間のように鮮やかに色を見ることができません。しかし、青と黄緑の色合いは認識できると考えられています。
人間の食べもの(特にソーセージやハムなど)は、美味しそうと思わせるために、主に赤色の着色料を使用することが多いですが、そういった着色料は人間でも発がん性などの問題があるので、猫には全く不要です。
着色料の少ないキャットフードを選びたい
猫は祖先が肉食であり、野生の中で赤色を認識する必要がなかったため、赤色を認識する目の細胞が退化してしまったと考えられています。
そのため、赤色で美味しそうに着色されたフードの色は猫にとって特に意味をなさないとされています。(ネコの視覚は青、緑系を認識するとされています)
猫にとって、フードの色よりも匂いや香りの方が重要です。
猫ちゃんは人間のように具体的な症状を訴えることもできませんし、人間のような詳細な健康診断はできません。飼い主から与えられるご飯が、猫ちゃんにとっては全てですので、飼い主としては成分表示をみながら危険そうな添加物は避けるようにしたいですね。
また、今回の事件を契機に、ペットフードメーカーも自社の製品の安全性を再確認するような動きになっていくことを心から願います。
Q1: 紅麹入りキャットフードは猫に安全ですか?
A1: はい、現在の研究によると、紅麹入りキャットフードは一般的に猫に安全であるとされています。
Q2: 紅麹はなぜキャットフードに入っているのですか?
A2: キャットフードに紅麹色素が使用される主な理由は、フードの色合いを調整し、猫の食いつきを良くする効果があるためです。また、ペットフードの原材料には主に天然素材が使用されており、季節や産地によって色合いが変わることがあるため、見た目を安定させる目的でも使用されます。
Q3: 紅麹入りキャットフードに健康効果はありますか?
A3: キャットフードに使用される紅麹は、主に着色のために使用していると考えられます。ネコの健康目的で紅麹が使用されているケースは少ないと思いますが、心配な場合は獣医師に相談しましょう。