ヒカキンも飼いはじめたスコティッシュフォールドは『繁殖禁止』にすべき?海外では議論に…

スコティッシュフォールド

人気ユーチューバーのヒカキンさんが飼いはじめたことでも話題の猫種『スコティッシュフォールド』。

前にパタンと倒れた『垂れ耳』が特徴的なことと、全体的に丸っこい愛らしい体型であることから世界中で人気があります。

アメリカの歌手テイラー・スウィフトさんや、同じくイギリス歌手のエド・シーランさんなど、世界中の著名人からも愛されている猫種です。

かなり人気の猫種なので、誰もが一度はネットの写真や動画で見たことはあるのではないでしょうか?

HIKAKINさんの新しい家族としても迎え入れられたスコティッシュフォールドですが、実は海外では『残酷なので販売禁止にすべき』との声が、スコティッシュフォールドの原産地でもあるスコットランドを中心として広がっています。

それは一体なぜなのでしょうか?

スコットランドに偶然生まれた折れ耳猫が起源

スコティッシュフォールド

「折れ耳」スコティッシュフォールドは、スコットランドの農場で自然発生した突然変異の猫を繁殖させたものです。

「スージー」と呼ばれたこの猫がとても可愛かったため、この特徴的な「折れ耳」を後世に残すべく、地元の伝統的な猫種(ブリティッシュ・ショートヘア)と交配させることにより保存に成功しました。

それがスコティッシュフォールドなんです。

スコティッシュフォールドが販売されるときは「垂れ耳」「立ち耳」といった区別があり、スコティッシュフォールドといえば特徴的な「垂れ耳」が可愛いとのことで、圧倒的に「垂れ耳」に人気が集中しています。

そのため「垂れ耳」の方が価格が高く、同じ親猫から生まれたスコティッシュフォールドでも、耳が折れているかいないかで5万円ほど価格に差がでる場合もあります。

スコティッシュフォールドの耳は「軟骨異常」の病気

そんな人気の「垂れ耳」スコティッシュフォールドですが、実はこの「垂れ耳」は『骨軟骨異形成症』という軟骨の異常を持った猫から繁殖させた猫種なんです。

骨軟骨異形成症とは骨が正常に成長しない遺伝子の病気のことで、スージーから始まるこの特徴的な「垂れ耳」は病気により耳の軟骨に剛性がないことから、自然に前に垂れ下がってしまっているとのことなんです。

これが個体の特徴であれば問題ないのですが、学者が調べてみたところ遺伝子の病気であることがわかり、スコティッシュフォールドを繁殖させることがいわば病気の状態を留めているということになるので「残酷」だと呼ばれる要因となっています。

軟骨の病気だとスコティッシュフォールドにどんな問題が?

「スコティッシュ可愛いし、耳が折れてる程度なら病気でもいいよね!」と思う方もいるかもしれませんが、骨軟骨異形成症という病気が問題となる所は、耳の軟骨だけでなく関節の軟骨にも問題を抱えている場合があるということです。

遺伝的な病気を抱えたままでも健康な状態で寿命を迎えてくれれば全く問題はないのですが、個体によっては「あまり動かない」「変わった姿勢になる」「変な歩き方になる」「手足が変形する」などといった症状が出る可能性があります。【参考文献(英語):Osteochondrodysplasia in Scottish Fold cats.

他にも耳が曲がっていることによる聴覚障害が懸念されるなど、健康上の問題を抱えていることが多いとされています。

インスタなどでも人気の『スコ座り(おやじ座り)』はこの遺伝子疾患により手足が痛むからだそうです。見た目は可愛いですが理由を知るとなんだか可愛そうですね。。

スコ座り

しかしながら「きちんと交配すれば遺伝的な問題は起こらない」という意見もあり、まだまだ論争のまっただ中といった感じです。

イギリスではすでに血統書登録を禁止

イギリスの血統登録団体である育猫管理評議会(GCCF)は1970年代からスコティッシュフォールド登録を取りやめており、これをきっかけに英国でスコティッシュフォールドの人気は衰えているとされています。

しかし、イギリスではスコティッシュフォールドの繁殖自体は禁止されておらず、禁止するか否かについては現在検討されているようです。(オーストラリアのビクトリア州では禁止されています)

軟骨異形成の猫種は他にも…

スコティッシュフォールドのような「骨軟骨異形成」によって人間の交配により作りだされた猫種は他にもあります。

「鼻ぺちゃ」の猫種

  • ペルシャ
  • エキゾチックショートヘアー
  • ヒマラヤン

鼻ぺちゃは軟骨形成不全によって作りだされ、遺伝的疾患として目や呼吸器の病気(流涙症や短頭種気道症候群など)になりやすいとされています。

耳折れ・短足の猫種

  • スコティッシュフォールド
  • アメリカンカール
  • マンチカン

耳折れ・短足などは軟骨異形成によって作りだされているので、先ほどご紹介した関節に関連した病気にかかりやすいとされています。

お迎えするなら最後まできちんと育てよう

スコティッシュフォールド

見た目を追求した「選択的繁殖」は猫ちゃんだけでなく、ペットとして飼われる犬(キャバリアなど)でも問題となることが多いです。

要は「見た目の良さ」「見た目の可愛さ」だけで人為的に作りだされることで、生まれたときから遺伝病をかかえた犬や猫がたくさん存在しているということです。

そういった問題を抱えた猫ちゃんの増加を防ぐにはみんなが「買わないこと」で繁殖を減らす方法でしか防げません。

もちろん「可愛いから飼いたい」という気持ちが抑えられないのはわかるのですが、まずは欲しい猫種についてのしっかりとした知識を持つこと、保護猫も視野に入れるということは一度検討してみてください。

スコティッシュフォールドなどの人工的に作られた猫種は、遺伝的疾患を抱えている可能性があります。

遺伝的疾患は薬での根本治療はできないので、発症すれば一生付き合っていく必要がある病気です。

ですのでもし飼うのであれば、心配な事があれば獣医さんにすぐ相談できる体勢を整えることや、きちんと寿命を終えるまで面倒を見てあげる必要があります。

ペットは可愛いですが、猫ちゃんは10年〜20年一緒に過ごす大事なパートナーとなる存在です。

安易な気持ちで飼わずにしっかりとした知識を身につけて、なるべく健康に幸せに生きられるように配慮してあげてくださいね。