怒ってるの?怯えてる?猫の姿勢から「猫の気持ち」を読み取ろう

猫ちゃんはそのときの気持ちによってさまざまな姿勢を見せます。これは感情が体の動作に表れる「猫のボディランゲージ」のひとつです。

人間のように言葉で会話しない猫ちゃんは、猫同士でボディランゲージすることによって「リラックスしている」「怒っている」などのコミュニケーションをとっています。

そんな猫特有の動作ともいえるボディランゲージですが、普段の猫ちゃんが見せる姿勢を観察することで、「いまどんなことを考えているのか」がある程度わかってきます。

「感情がわかりにくい」と言われる猫ちゃんですが、ボディランゲージを通して気持ちを理解してあげることで、より絆を深めていきましょう。

猫がリラックスしているときの姿勢はどんな感じ?

猫の姿勢から気持ちを読み取るためには、まず普段の姿勢を覚えておきましょう。

これといった強い感情がなく平常心でリラックスしている猫は、尻尾をだらんと垂らし、背中をピンとまっすぐ伸ばして、耳は伏せたり沿ったりせず正面を向いています。

姿勢にあまり特徴がないのは、体を使って気持ちを表現する必要がないためです。

室内で暮らす飼い猫は周囲を警戒する必要がないため、一日の大半をこの姿勢で過ごしています。

猫の姿勢は「強気」と「弱気」で変わる

「怒ってます!」猫が強気のときは腰を高く上げて自分を大きく見せる

強気のときの猫は自分が強いということを示すために、腰を高く上げて足をまっすぐ伸ばすことで自分を少しでも大きく見せようとします。

動物の世界では体の大きさ=強さの表れですから、自分が大きいということをアピールすることで優位に立とうとしているのです。

猫は縄張り意識の強い動物ですが、自分の縄張りの中では比較的強気に出ることができます。ライバルの猫に対して「俺は強いんだぞ、喧嘩しないほうがいいぞ!」と相手を威圧します。

まさに攻撃態勢に入ろうという姿勢です。とはいえ必ずしも喧嘩をしようとしているわけではありません。自分を強く見せることで無用な争いを避ける意味合いもあります。

家の中でこの姿勢を取るときは窓や玄関越しによその猫を発見したり、飼い猫同士で喧嘩になったときです。

興奮しているため周りが目に入らない状態ですから、落ち着くまで待ちましょう。

「ごめんなさい!」猫が弱気のときは体を低くして自分を小さく見せる

強気のときとは逆に「怖くて逃げ出したい」ときは頭を引いて低い姿勢を取ります。

これは少しでも自分を小さく見せることで「弱いから攻撃しないで欲しい」と訴えているのです。

自分が明らかに劣勢な場合にこの姿勢を取ります。

相手はボス猫や過去に喧嘩で負けたことのある猫、犬などの自分よりも大きな動物です。「戦ったら勝てないから早く逃げたい」そんな気持ちが表れています。

ただし「窮鼠猫を噛む」ということわざがある通り、弱気の猫であっても追い詰められると攻撃に出ることがあります。

家の中でこの姿勢を見せる猫は強いストレスを感じています。多頭飼いの場合は、喧嘩が起きないように仲の悪い猫同士を引き離すなどの工夫が必要です。

強気と弱気の中間のときはお尻を上げて上半身を低くする

猫はそのときの状況や相手によって、強気と弱気の感情が細かく変化します。

相手が気になるけど恐怖は感じていない「強気と弱気の中間」のときは、お尻を少し高く上げて頭は引いて上半身を低くします。

ライバルの猫や犬などと出会って緊張が高まると、お尻を高く突き上げて頭は低く下げるという複雑な姿勢を取ります。

自分を大きく見せて相手を威嚇していますが、内心では怯えているため腰が引けている状態です。

勝てるという自信がないため、いつでも逃げ出せる姿勢を取っているのです。

また相手と対峙するシーンでは正対せずに横向きです。

正面から睨みつけることができないのは、自分に自信がないからです。

猫の喧嘩で劣勢なほうの猫がこういった姿勢をよく見せます。

猫が警戒心や恐怖心を表す姿勢

恐怖心が増しているときは床に這うような姿勢を取る

 

平常心から恐怖心が少しずつ増していくと、床に這うように体全体を低くして頭を下げます。

このような姿勢でほふく前進する猫を目にしたことのある方は多いのではないでしょうか。

家の中でも比較的よく取る姿勢です。猫は環境の変化に敏感ですから、本能的に何か普段と違う空気を察しているのかもしれません。来客があったり、よその猫の存在を察知したときに見せることがあります。

危険を察知して緊張しているときは腰を引く

腰が引けている姿勢は猫が危険を察知して警戒していることを示しています。

強い恐怖や怯えは感じていないため、頭は低くなく背中はまっすぐです。

 

 

警戒心があらわになると背中を丸め腰をやや高くする

警戒の姿勢よその猫や犬などと遭遇して緊張が高まると、背中を丸め腰をやや高くします。

強い恐怖を感じているわけではありませんが、得体の知れない相手に遭遇して警戒心を露にしています。

室内で暮らす飼い猫であっても、臆病な性格の猫は来客があったときや、掃除機の音、テレビやラジオの大きな音などの環境音、雷や雪が屋根から落ちる音に驚いて、この姿勢を取ることがあります。

安全な家の中で暮らしているとはいえ、猫は繊細な生き物で周囲の変化に敏感です。

強いストレスは健康に悪影響を及ぼすため、出来るだけ猫ちゃんが警戒しなくても過ごせるように工夫しましょう。

猫が攻撃の意図を表す姿勢

攻撃心が強くなると腰が少し上がり耳がピンと立つ

弱気と強気の中間の姿勢腰を少し持ち上げ背中は真っ直ぐで耳がピンと立っているときは、攻撃心が強くなっていることを示しています。

強気のときの姿勢の一つですが、今にでも飛び掛ろうというのではなく、相手を軽く威嚇しています。

知っている猫や普段から一緒に過ごしている猫に対してよく見せる姿勢です。猫同士の微妙な力関係が表れています。

獲物となる生き物を見つけたときに見せる姿勢

肉食動物である猫の祖先は狩りをして暮らしていました。現代のイエネコにも狩猟本能が備わっています。

例え家の中で暮らしていても、ネズミや小鳥、虫などを発見するとほとんどの猫がハンティングを始めます。

そのときに見せる姿勢は、地面を見るように頭を軽く下げ、背中は緩やかなカーブを描き、足を伸ばしています。この姿勢を取った後に前足を出して攻撃したり、噛みついたりします。

猫のジェスチャーは面白い

猫の喜び数多い動物の種類の中でも、ネコ科の動物ほど様々な形で感情表現する動物はいません。感情がわかりにくいと思われていた猫ちゃんも、実は様々な形でコミュニケーションを取ってくれていたのです。

姿勢の他にも、しっぽ、ひげ、耳の動き、鳴き声など、猫のコミュニケーション手段はとても豊かです。

注意深く観察すれば、猫ちゃんがいま何を考えていてどういった状態なのかが、だんだんと分かるようになってきます。

猫のジェスチャーを知って、猫ちゃんとのより深いコミュニケーションを楽しんでくださいね。